菊花夜話

兄を探しています。

九夜目 泥孕み

※グロテスクな描写、男体妊娠の描写があります。

 

転載元 【バカップル巻き込まれ修羅場 総合スレ part28】

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592:巻き込まれ総合スレ[] 2012/05/25(土) 17:33:02 (以下レス番号省略)
オカ板に書き込もうか悩んだけど、こっちの方が合ってる気がしたのでカキコ失礼します。けっこう前の話だけど未だにモヤモヤしてるので発散も兼ねて。言ったとおりオカルトっぽい部分あるので注意して下さい。

私が高校生の時の話。当時通っていた女子校の通学路からちょっと外れたとこには30代くらい?の男の人2人でやってる骨董品屋さんがあって、なんか高そうなアンティーク系の鏡とか古びたランプとか色々売っていました。しかもその店員2人がけっこうイケメンだったから、生徒の間だとかなり有名なお店でした。
そのお店が、秋頃だったと思いますけど、今までそんなことなかったのに突然バイトの募集をしだしました。(お店の大きさは教室の半分くらいしかなかったから、従業員はなんなら1人でも十分なくらいでした)
当然同級生たちは2人の顔目的で食いつきまくって、私はそっちにはあんまり興味なかったんですが、時給がめちゃくちゃ良かったので(相場が分かってなかったのかな?)雰囲気に乗っかって友達と一緒に応募しました。
そしたらなんと15人くらいいた希望者(全員女子だった)の中から私が選ばれちゃったんですよ。当たり障りない面接をちょっとしただけで変わったことなんもやってないのに。面接落ちした他の女子に冗談交じりの恨み言も言われましたが、財布の助けになるなーラッキーくらいにしか思わず、次の休日からその骨董品屋のバイトに入ることになりました。

最初の方は特に問題なくバイトしていました。私の仕事は主に店の掃除とたまに接客を任されるくらいで、クラスメイトが冷やかしにくることはあったけどそれもだんだん少なくなっていって、特にトラブルもなかったし、お店の2人にも必要以上に干渉せずのんびりやっていました。話の都合上、この2人の男性のうち色白で(本当に不安になるくらい白かった)若干髪の長い店主さんの方をNさん、背が高くて無口な方をYさんとします。(特定怖いのでフェイク入れてます)
Nさんは誰にでも優しく、女性みたいな穏やかさのある不思議な人で、ある日なんかは竹細工の綺麗な櫛で髪をすいたりなんかしていました。(お察しかと思いますがこの櫛が後で重要なことになります)
Yさんは口数も少なく恐がられることも多かったみたいだけど、私の知る限り細かい気遣いのできるやさしい人だったと思います。(これも後々?がつきます)

で、事件の始まりはここからです。私がバイトを始めてから2週間くらい経ったある日、Nさんがレジの奥の方(レジの向こうは居住スペース?みたいになってたみたいです)のイスに座ってうたた寝をしてたことがありました。その時は客も来ていなかったので私はぼーっと掃き掃除をしていたんですが、突然Nさんが離れていても聞こえるくらい大きな呻き声を出し始めて、私はそっちの様子をのぞきに行きました。
見ればNさんは本当に苦しそうに呻いていたものの目覚めないままで、きっとひどい悪夢を見ているんだろうなと思いました。起こそうか迷ったんですけど、レジより奥にはあまり入らないで下さいと2人から言われていたこともあって、私はただ黙ってその様子を見てただけでした。Nさんは一向に起きる気配がないし、まあうなされてるのを見られるのも嫌かな、と思って掃除に戻ろうとしたんですが、目を離そうとした瞬間、Nさんの身体がイスごとがたっと動いたんです。
それが明らかに目覚めたって感じではなくて、なんというか誰かに殴られたみたいな感じの動き方でした。え!?と思ってそのまま見てたら、身体がよくわからない何かから逃れるみたいに身をよじってイスからずり落ちてくし、声も掠れて痛々しい感じになってくのに、Nさん全然起きないし。正直見てて不気味だったし、その日はYさんもどっかに行ってて頼る人がいなかったから、私が助けるしかない!と思ってNさんのところに駆け寄って必死に肩を揺さぶりました。

その時初めて気付いたんですけど、Nさんの首元にいくつも真新しい噛み跡があったんです。それだけじゃなくて、顔面とか鎖骨のあたりにたくさんアザもできてました。(多分服の下にも色々あったと思います)どっちもNさんがうたた寝するにはついてなかったから、どう考えても今さっき寝てる間に「何か」に襲われてついたとしか思えなくて、でも店内で他の人や動物の姿なんて見てないし、私はもう本当に怖くて半泣きになりながらNさんを起こそうとしました。そしたらNさんは案外あっさり目覚めて、私の顔を見てちょっと驚いた後、何事もなかったかのようにイスに座り直しました。(ちょっとだるそうだったかもしれない)
私は必死にさっき起きたことを説明して、急いで病院に行こうと行ったんですけど、Nさんは笑って全然取り合ってくれませんでした。「大丈夫だから、俺はいいから」と繰り返してばっかりで話にならないし、そうやって2人でもめてるうちにバイトが終わる時間になって、私はめちゃくちゃびびりながら帰らなきゃ行けない羽目になって、結局Nさんが見ていたであろう夢の内容も怖くて聞けずじまいでした。だってあの噛み跡、明らかに人間の歯型だったし。

翌日のバイトの時も、Nさんは特に変わらず平気な顔をしていました。強いて言うなら首まで隠れるセーターを着ていたけど、それはその日が寒かったからかもしれないです。顔のアザもおしろいか何かでうまく隠してるみたいで、よく見なきゃ気付かないくらいには目立たないようになってました。
私はNさんの目を盗んで、昨日あったことをこっそりYさんに相談しました。Yさんは私の話を聞くとものすごく顔をしかめて「Nに言っておく」とだけ答えました。できればこの手でNさんを寺か病院に連行したかったけど、変なイメージを持たれて折角の高額バイトを逃しても嫌だし、それは諦めてYさんに託すことにしました。

それから特におかしなことはなかったし、アザも噛み跡も完全に消えてるみたいだったので、(隠してる雰囲気じゃなく本当に解決したみたいだった)私はあの時の恐怖も忘れてバイトに勤しんでました。ただあの日から半月くらい経つとNさんがあまり店の方に出てこないようになって、たまに見かけた時もだるそうにしているか(微熱があるみたいだった)ものすごく眠そうにしているかのどちらかで、私はあの噛み跡がやっぱり何か絡んでいるんじゃないかと勝手に怯えてたけど、Yさんに聞いてみたら「よくある症状だ」と言われたので、何か持病でもあるのかな?とそれ以上深くは追及せずに黙ってました。

で、そんな状態が1ヶ月半くらい続いたあと、また怖いことが起きました。
その日は珍しくNさんが店に出てきてる日で、相変わらず朝からだるそうにしてお腹を押さえてたりして調子が悪そうだったんだけど、お昼過ぎくらいにとうとう店先で吐いちゃったんです。幸いお客さんは誰もいなくて、私は商品の陳列をやめてNさんを介抱しようとしたんですけど、どうも様子がおかしくて。なんというか、吐瀉物ってふつう黄色とかせいぜい茶色くらいの色をしてるのに、Nさんが吐いたそれはなぜかどす黒かったんです。
よく見たら、それは大量の泥でした。私はめちゃくちゃ驚いて、ひょっとして脅かそうとしてるのかなとか思ってNさんの顔を見たんですけど、確かにべちゃべちゃした黒い泥がNさんの口から溢れてきてたんですね。でもそれだけじゃなくて、こんなすごい気持ち悪い状況なのに、Nさんなぜか幸せそうに笑ってるんですよ。泥吐きながら。しかも笑って口の中が見えて、その気はないのに見えちゃったんですけど、Nさんの歯もこれまたどす黒くて。泥がついた黒さじゃなくて、お歯黒?したみたいな黒さだったんです。
状況がまったくわけわかんないし、Nさんずっと笑ってるし、もう本当に不気味で不気味で、今度は本気で泣きながらYさん!って叫んだんですよ。すぐに奥からYさんが駆けつけてきてくれて、固まっちゃってた私の代わりにNさんを介抱してくれたんですけど、「休ませるから」とか言ってまた2人して奥に引っ込んじゃって。店に私とNさんが吐いた泥だけ取り残されました。怖すぎて気付いてなかったけどその泥めちゃくちゃ臭いし、(生ごみみたいな臭いがした)汚いというより怖さの方が強くて全然手を付ける気になれませんでした。(とりあえず新聞紙で見た目だけ覆って終わりにした記憶が・・・)
私はもう本当にこれはただ事じゃないと思って、Yさんが奥から帰ってくるまでの間に、今度こそ絶対に絶対にNさんをお祓いに連れていくという決心を固めました。できればその日のうちに連行したかったんですけど、そんなすぐに駆け込めるお寺に心当たりもなかったし、その日はもう店じまいだから帰ってほしいとYさんにお願いされて私はしぶしぶ家に帰りました。

次の日、さすがにNさんはお店に出てきてなかったので、私は堂々とYさんに「Nさんをお寺に連れて行きましょう!」と言いました。Yさんは絶対に賛成してくれると思ってたんですけど、なぜか不思議そうな顔をして「なんでそんなことしなきゃいけないの」とか言い出して、私ははぁ!?と思ってめちゃくちゃ丁寧にNさんの身のまわりで起きたことがどれだけ異常かを力説しました。なのにYさんは平気そうな顔をして「自宅療養で十分だから」とかそんな内容のことを言って無理矢理話を終わらせたんです。
私は信じていたYさんに裏切られた気分でかなりショックでした。でもこの件について他に頼れる人もいないし、警察や病院に行ってもまさか信じてくれないだろうし、私には何の実害もないから1人でお寺に駆け込んだってしかたないし・・・
何度も骨董品店のバイトをやめようと思ったけど、このまま1人で逃げるのはNさんを見捨てるみたいですごく嫌だったし、あとお財布事情的にもかなり辛かったから、バイトは必要ないと言われるまでしばらく続けることに決めました。(繰り返すけど、私には何の実害もなかった)

月日は流れ、泥吐き事件から半年ほどが経ってもNさんは店の方に姿を現しませんでした。不安ではあったけどYさんに聞こうにも信用できないし、それにNさんがいなくなってからYさんはますます無口になったので単に聞きづらいということもありました。いつも寂れていたお店はますます静かになってお客さんも少なくなり、(Nさん目当ての客が減ったんだと思う)私はやっぱりバイトをやめたほうがいいんじゃないかと思ったりもしてました。

そんなある日、いつもの通り休日の朝に店に来ると、開店前にも関わらず誰かが店にやってきて、Yさんと何かを言い争っている様子が見えました。
私はとっさに店の脇に隠れてその口論に耳をすませました。Yさんの方は普段より若干低いぼそぼそした声で喋っているので何を言っているのかは聞き取れませんでしたが、もう1人のお客さん?の方は「約束が違う」とか「返してほしい」とかそういったことを必死に叫んでいるのがわかりました。私はそれがなんのことかさっぱり分からなかったけど、言い争いの途中でNさんの名前が出てきたのを聞いて、ひょっとしたらこの人はNさんについて何か知ってるんじゃないかと勘づきました。
15分ほど(私が来てから15分なので、実際はもっと長いこと口論していたと思う)そうして言い合ったあとお客さんはYさんに閉め出されたみたいで、怒ったように店から離れて行くのが見えました。私はそのあとをこっそりつけていって、骨董品店から十分離れたところでその人をつかまえて近くの商店街にある喫茶店に無理矢理引き込みました。

その男の人は(名前は知らないので仮にSさんと呼びます)最初わけがわからないといったように私を見てたけど、私が「あの骨董品屋のバイトです」と名乗ると、その次に言おうとしていたことを遮って大きな声で「櫛に触りましたか!?」と叫びました。
私はそれがなんのことか分からなかったけど、触るという言葉で、Nさんがまだ健康だった頃によく使っていた櫛のことを思い出しました。以下会話です。(うろ覚え・フェイクあり)
私「Nさんが使ってた櫛ですか?」
S「たぶんそれです。写真はないですが、色褪せた竹でできた複雑な細工の・・・」
私「それなら昔触ろうとしたんですけど、Nさんに『女性は触っちゃ駄目だよ』って言われて、触ってないです」
S「そうですか、ああ、よかった・・・」
私「あの、Nさんがおかしいのって、その櫛のせいですか」
って言ったら、Sさんの顔色がすごく悪くなって「詳しく聞かせて下さい」って言ってきたから、私はとりあえず半年くらい前に起きた噛み跡事件のことを話しました。そしたら、
S「ああ、そうですか、男性でもやっぱり・・・」
私「私、本当にNさんが心配なんです。何か知っていることがあれば聞かせて下さい」
S「・・・本当は、女の子に話すようなことじゃないんだけど・・・でも、君は当事者ですし、分かりました。教えましょう」
そうして、私は半年越しにやっとNさんの身に起こっていたことを知りました。

S「私はNさんと同業者で、つまり骨董品屋を営んでいるんですが、そんな商売をしていると商品の中に曰く付きの品なんてものが紛れ込んでくることがあるんです。そんなことは本当に希なんですが、でも今回はその希なケースが当たってしまって。あの櫛はですね、元はと言えば、ある土地神さまがある女性に贈ったものだとされているんです」
私「え、そういうのって普通指輪じゃないんですか?それに神様の贈り物なら良いものなんじゃ・・・」
S「昔の日本に結婚指輪を贈る習慣はなかったんです。・・・それで、この櫛を贈られた女性は大層喜んだんですが、その夜から毎日毎日、寝る度にある奇妙な夢をみるようになったんです」
私「どんな夢ですか?」
S「・・・若い男に、ひどい暴力と辱めを受ける夢です」

Sさんは女子高生相手にかなり言葉を選んでくれましたが、その意味がわからないほど子供でもありませんでした。また理解してしまったのはそれだけじゃなく、半年前のあの日、Nさんがどんな夢を見てあれほどにうなされていたのか、またあの時ついた噛み跡やアザはなんだったのかを知って、私はものすごい吐き気に襲われました。

S「奇縁あってこの櫛を手に入れましたが、やはり不気味ですぐに手放したくなり、そこに丁度同業者のYさんが譲って欲しいというので、決して女性の手に渡さないという制約つきでお譲りしました。色々な人の手を渡ってきたようですが、これまで一度も男性に作用するという話は聞いたことがなかったので、大丈夫だと思ってたんですけど・・・」
私「・・・え、でも、それだけですか?」
S「それだけって、男性にはかなりの屈辱だと思いますよ」
私「いやそうでしょうけど、そうじゃなくて、なんか他に症状とかないんですか?泥吐くとか・・・」

そんな夢を見てNさんは苦しかっただろうと心配になったけど、Sさんの話だけだと泥吐き事件とか歯が黒かったりしたことに説明がつかないと、私は不思議に思いました。私の言葉を聞いたSさんも同じように不思議そうにしていたので、噛み跡事件の事だけではなく、私は改めて洗いざらいNさんの身に起きたことを話しました。店先で泥を吐いたことや歯が黒かったこと、笑っていたことだけでなく、しばらく体調を崩していたことやお腹をよく押さえていたことなど些細なことも含めて。Sさんはそれを聞いてうつむきながらしばらく考え込んでいましたが、はっとしたように顔を上げると、今までも悪かった顔色を比べものにならないくらい真っ青にしながら、

S「・・・あの、私さん、毎夜犯され続けたら、普通どうなるとおもいますか」
私「え?そりゃ妊娠すると・・・え??いや嘘ですよね!?」
S「でも、今まで櫛を所有してきた女性はみんな・・・」
私「でもNさん男ですよ!!!!」
S「私もそう思って言わなかったんですよ!!!でも、さっき言ってたことって、全部妊娠の初期症状じゃないですか」

私はその時本当に、本当にぞっとしました。私は高校が女子校だったこともあって、そういったことについては家庭科の先生が特別丁寧に教えてくれたけど、確かに微熱もだるさも腹痛も嘔吐も、全部妊娠の症状としてあげられることでした。

S「歯が黒かったのは、たぶん、お歯黒かと・・・昔の日本の風習で、婚姻の証です」
私「・・・Nさん、神様の子を、孕んでるんですか」
S「でもそうだったら泥なんて吐きますか?・・・土地神さまが信仰されなくなって、忘れ去られて、もっと悪いものになってたとしたら・・・」
私「あの、今まで櫛を持ってた女の人たちは産んだんですか?」
S「みな産むまでもなく衰弱して死んでいったそうですが、女性より体力のある男性ならどうなるかは・・・」
私「じゃあ中絶はできないんですか!?」

母胎に危険の及ばない範囲で中絶ができるのは、一般に妊娠22週目程度までとされていることを、私は授業で習って知っていました。震える手で指折り数えると、一連の事件が始まってからは、もう半年近くが過ぎていました。
私は脱力して喫茶店の机に突っ伏し、嘆くSさんをよそに、NさんとYさんのことについて考えました。あの櫛は、たぶんYさんが贈ったものだと思います。私は最初Nさんのことをとても可哀想に思っていたけど、やがてあの店で泥を吐いたときのNさんの幸せそうな笑みを思い出して、ますます身体から力が抜けていきました。なんというか、すごく救いようのない人たちだ、と感じました。もし中絶できる期間内だったとしても(人間の法則が当てはめられるかは知らない)きっと彼らはそれを選ばなかっただろうと思うと、そのことが本当に、本当に哀れでした。

後味が悪くて申し訳ないですけど、話は以上です。オチらしいオチもありません。後日談というか、私はSさんと別れた後流石にバイトにも行かなくなって、同級生たちの噂で骨董品店が潰れたことを知り、とうとう卒業して地元を離れるまであの2人の姿を目にすることはありませんでした。生きているのか死んでいるのか、産んだのか産まれなかったのかもわかりません。まあ散々迷惑はかけられましたが、私はあの2人がどこかで幸せになっていればいいなと思います。長文失礼しました。

 

転載元:【隣人・カップル巻き込まれ修羅場総合スレ】